湯沢市山田字北土沢にある土澤山神社はもと天台宗安養寺(のちの安楽寺)といい、本尊は十一面自在観音立像とされ、平安時代後期に慈覚大師によって彫られたと伝えられる。

土沢神社

現在、「タニシ観音」として地域住民に崇敬されているこの像にはいくつかの伝説が残されている。
伝説によれば天正十六年、最上氏の侵略があって土澤山神社の社殿、鐘楼(しょうろう)が灰じんに帰したが、不思議なことに観音像だけは数万とも知れぬタニシ(ツブ)に守られて現在の姿を残しているという。その後、村人はその観音像を「タニシ観音」と呼ぶようになり、また、観音像を守ったタニシを大切にし、タニシを取ったり食べたりすることを禁じるようになった。

タニシ観音

地域では、伝説とともに観音像を救ったタニシへの信仰心は今も息づいている。